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2009年8月20日 (木)

2009年8月アイビー随筆

アイビー随筆 「再び盗人」  

              37年理学部卒 大内 建二

 先月のこの欄で「盗人」と題した一文を書いたら幾つもの笑いの反響があった。そこで気をよくして再び若き時代の盗人修業について書くことにする。勿論遅まきながら後日まとめて懺悔する「予定」である。
 私の高校は当時各学年3クラスで全校でも9クラスしかなかった。このため秋の文化祭では各クラスが全員出演で必ず一つの演劇を演じることが伝統になっていた。私が三年生の時の演劇の題名は忘れたが、私は坊さん役をやらされた。
 最終日の夜には9クラス全ての舞台装置が校庭に高々と積み上げられ、お決まりのファイアストームが行なわれるのだ。
我が3年A組の男子生徒全員は例外なく優秀な盗人の才能をもっていた。最終日夕方、精鋭盗人に選ばれた10名(勿論私も入っている)は学校に隣接する大きな寺の墓地に入り込む、十分に乾燥した卒塔婆数百本を抜き取りソッと学校へ戻り、戦利品を御炊き上げの山の中に放り込んだ。乾燥しきった薄い卒塔婆は燃えに燃えた。
翌日月曜日の朝礼の時、校長は全校生徒の前で前日の悪行に怒り狂った訓辞を垂れた。この日の朝、寺の住職が校長室に怒鳴り込んできたのだ。しかし校長は偉かった。怒り狂いはしたもののその後盗人達の面通しはしたが、将来を憂いたためか叱りつけることはなかった。
 多分校長も若き旧制中学と高校の頃は相当の盗人であったのではなかろうか。盗人クラスメートの多くはその後医者や大学教授になっている。ところでこの校長は偶然にも立教大学理学部教養課程のドイツ語講師(白旗講師)をやっていたのだ。私は1年生の時に授業を受けたが、最初の授業の時に私の名前を呼んだ後に顔を見てニヤリと笑っていた。盗人が神の学校に入ったのだ。

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