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2009年10月 9日 (金)

2009年10月アイビー随筆

アイビー随筆 「最後の晩餐」 

     37年理学部卒 大内 建二
 
 横浜港に展示保存されているかつてのシアトル航路の客船氷川丸は有名だ。既に建造以来七十九年を経過した老嬢である。
 この客船はかつて内外の著名人が乗船したことでも有名である。名優チャップリンは来日したとき「天麩羅」がいたくお気に召し,アメリカへ帰る便にどの船に乗るか日米間で競争が起きたとき、氷川丸では毎日揚げ立ての天麩羅をご馳走する、ということで彼は即座に氷川丸に決めた、という逸話は日本の海運界では有名である。
 以前私は氷川丸の船内の売店で、一九三○年代の同船の一等船客の晩餐のメニューの復刻版を購入した。
 二つ折りの小型のメニューの表紙には鮮やかな錦絵が印刷されており、大変に立派である。食べることが大好きな私は数枚を購入した。
 メニューを開くと船とは思えないような実にすばらしい内容なのだ。一九三七年(昭和十二年)五月二十八日の晩餐メニューは以下の通り。
 オードブル各種。二種類のスープ。魚料理一種類。肉料理はローストダック、サーロインステーキ、子羊肉のロースト、牛タンシチュー。デザートはカスタードプリンとチョコレートアイスクリーム、モカケーキ。
 晩年の一九六○年(昭和三十五五年)九月四日の晩餐メニューの肉料理の項には食用カエルのカツレツがあり、ビックリした。
 最近タイタニック号が沈没した日の晩餐メニューを紹介した珍しい本を手に入れた。一等船客のメニューはパリの超一流レストランであるマキシム・ド・パリのメニューもかくや、と思われる素晴らしい内容である。
 しかし彼らはこれらを満喫した数時間後に生死を分けたのである。まさに最後の晩餐である。

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