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2010年5月14日 (金)

2010年5月アイビー随筆

アイビー随筆 「ビーフステーキ」 

           37年理学部卒 大内 建二

 ビーフステーキなどは大学生のある時までは夢の食べ物であった。
それだけに初めてステーキを食べた時の状況は結構よく覚えている。
 ビーフステーキはそれまでは漫画の中やレストランのショーウインドの中の見本飾りで見るしかお目にかかったことはなかった。
 家族の多い我が家では牛肉と言えば細切れ肉にきまていた。そんなために、すき焼きの肉が細切れではなく大きな肉片であることを知ったのはずいぶんと後のことであった。
 大学一年の春休み(昭和34年3月)に、北陸から姫路、奈良をめぐる何時もの一人旅(汽車の旅)に出かけた。
 前年の11月に上の姉が結婚し姫路に新居を構えていたので、途中姉夫婦の家に二泊した。翌日が日曜日で姉夫婦は私を姫路城に連れて行ってくれた。そしてその帰り道に街中のレストランで昼食となった。義理の兄貴は何と神戸牛のビーフステーキ三人分を註文したのだ。
 夢のような「豪華」な昼食の味は今となっては思い出せない。実はこの話には語るも惨めな後日談があったのだ。
 5~6年後の話だが姉が私に話した。「アンタ、あの時は大変だったんだから。三人でステーキを食べたためにそれから次の給料日まで惨めな食事が続いたのよ!」。新婚所帯にとって三枚のステーキは三週間分の食費に等しかったのだ。義理の兄貴は新しい弟のためにガンバッタのだ。
 姉にはその後の50年このお礼をしていない。忘れてくれていることを望む。

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