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2010年9月14日 (火)

2010年9月アイビー随筆

アイビー随筆 「幻のハニー」

            37年理学部 大内 建二

 定年までの6年間、私の担当部署の業務の一つにアメリカの化学薬品会社との物資輸入関連の仕事があった。
 当社ではこの時より20年ほど前よりその会社の特殊な製品を購入し、日本国内での独占販売を行っており、ユーザーに対する各種のフォローは我々の部署が行っていた。その内容は大半が技術的な内容の業務であった。
 輸入先の会社のこの商品のアジア担当部長は、私が担当を始めた時は30歳台半ばの大変に元気な男であった。彼は年に一回、一週間の期間を設け来日し、我々と様々な課題について検討を行い、又日本のユーザー訪問を積極的にこなしていた。
 この間の一週間は、複雑な内容の場合には海外部門の担当者の同席を仰ぎ、通訳をお願いしていたが、それ以外はすべて責任者の私が対応することになっていた。
 この間の毎日は全くの生の英会話の日々で、英語が堪能でない私にとっては毎日が精根尽きはてる思いであった。
 そんなある日の彼と二人の夕食の時、彼が何時になく真剣な顔付きで質問してきた。彼は晩婚であった。
彼は私に対し「プライベートな話で申し訳ないが、是非貴方に聞きたいことがあります。ミスターオオウチ、貴方の家庭では奥さんは貴方を何と呼んでいますか?」。予想外の質問であった。一瞬戸惑ったが「我が家では子供が生まれるまでは家内は私をアナタ(ハニーと訳しておいた)と呼んでいたが、子供が生まれてからは今でもパパと呼ばれているよ」と答えた。その瞬間彼は両手を広げ「アンビリーバブル!」。
 「ミスターオオウチ、聞いてください」と来た。「私の奥さんは結婚までの間は私をいとも優しく(ハニー)と呼んでくれていた」。「ところが結婚した途端にハニーはトム(彼の名前はトーマス)に変わり、何か事があると怖い声で(トーマス)と呼びます。そして子供を妊娠したらトムがヘイ・ユーに変わり、今では家では私はヘイだけで呼ばれています」。驚いた。
 それにしても哀れなトーマス。私には彼を慰めるだけの十分な英語の語彙の持ち合わせがなかった。
 彼とは今でも時折の手紙とクリスマスカードで交誼が続いている。文面からは平穏無事な生活を送っているようだ。
 彼についての思い出は数々ある。次回また紹介したい。

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