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2012年8月

2012年8月31日 (金)

2012年8月アイビー随筆

アイビー随筆 「長町駅」 

         37年理学部卒 大内 建二

 私が住んでいる郡山一丁目のマンションから長町駅までは徒歩で10分。かつて広大な貨物列車の操車場であった跡地は、現在は仙台副都心計画区域となり、既に立派な広い道路
は完成している。ただビルは一部で建設が進んでいるだけで、ほとんどは広大な空地となっている。5月になると時にはキジが縄張りを誇るように鳴いている。2年後には立派な市立病院も完成する。
 長町駅の歴史は古い。明治27年の日清戦争の時に、仙台駐屯の陸軍第2師団の歩兵第4連隊の将兵が、列車で送り出された仮設の停車場が現在の長町駅になったのである。
 7年ほど前までは古い駅舎が残っており、一部は改築されたが、ほぼ創設当時の駅舎の姿を残していた。駅舎の正面入り口を入ると右側には30年前までは使われていた、手荷物取り扱い所があり、切符売り場が続いていた。待合室の脇の改札口を通るとホームに続く通路が続き、跨線橋の階段を渡りホームに向かった。
 その途中の通路の左側にはアンモニアの匂いが目に沁みる様な木造の共同便所(トイレという言葉がそぐわない)があった。
 新しい長町駅は7年前に完成したが、高架の駅に変わった長町駅には以前の面影は何処にもない。駅舎内は夏には冷房が利いている。自動券売機の横にはガラスで囲まれた指定券売り場がある。改札も自動改札だ。自動改札を入ると正面には目に泌みない清潔な「トイレ」がある。ホームまではエスカレーターかエレベーターで上がる。
 最近駅舎の脇に小奇麗なパン屋が開店した。中では買ったパンが食べられるようにカウンターと椅子が置かれている。
 先日駅員に聞いたら長町駅の一日の乗降客の数は一万人を越えたそうである。日清戦争の時の歩兵第4連隊の総員は三千人である。120年の歳月の流れはかつての田舎駅を変貌させてしまった。

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