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2015年8月 5日 (水)

2015年8月アイビー随筆

アイビー随筆「北 杜夫」     

       37年理学部卒 大内 建二  

 先般仙台市文学館で「北杜夫展」が開催されたので見に行った。

 精神科医兼作家の北杜夫は、終戦直後の4年間東北大学旧制医学部 で勉学に励み、父親(斉藤茂吉)と兄に次いで精神科医になった。

 しかしその後の彼の名声は、医師としてではなく作家として有名になり、何時しか本業から遠ざかっていった(と思っていた)。

 彼の出世作の一つである「どくとるまんぼう航海記」は余りにも 有名である。専門の医学の道に精進する?傍ら、修行の意味を込め て水産庁の漁業調査船の船医として乗り組み半年を過ごしたが、こ の体験を書いたのが同書であった。

 船好きの私は「航海記」と題する書物は片っ端から読んだが、こ の「どくとるまんぼう航海記」は余りにも異質であり、そして読者 の総てを完全に本の中に引きつけた。 「マダガスカル島にはアタオコロイノナという神様のようなものが いる。これは土人の言葉で“何だかへんてこりんなやつ”というく らいの意味である」という出だしからして突飛である。一般的な 文学書の中では絶対に見られない筆致である。

 航海記と名がついているだけに航海の様子の描写もあるが、その多くは船内で起きる出来事や人物観察が主体である。面白い。

 彼は次作の「どくとるまんぼう青春記」で医学部時代の様子をか なり書いているが、それによると彼はまともに授業に出ることもな く、勉強は友人のノートを見てやった。そして毎日ピンポンに明け 暮れ、時々は文学同人誌に原稿を投稿していた。と記している。

 これを見ると彼の医学部の学生としての姿は全くの劣等生と思わ せるが、違っていた。展示物の中には彼の大きな見事な医師免状や 医学博士免状が展示されていた。実に驚いた。彼が医学博士であるなどということは何処にも書いたことはない。彼は医師としての道を全うに歩いていたのだ。そして信頼できる医師であったのだ。

 展示物を見て改めて彼の奥ゆかしさを垣間見た思いであった。

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