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2015年11月 6日 (金)

2015年11月アイビー随筆

 アイビー随筆「ハンバークステーキ」 
            37年理学部卒 大内 建二

 中学3年生(昭和28年)の秋まで私はハンバークステーキという食べ物を知らなかった。この年の11月(よく覚えている)、職業家庭科の授業の中で中学生になって初めての料理実習があった。実習内容は「ハンバークステーキ」を作ることであった。まず生徒のほぼ全員がこの料理の存在を知らなかったことは確かである。授業の一週間くらい前であったと思う。この時家庭科の女の先生(芳賀先生といった)が黒板に前もって料理のレシピを書いた。そしてこれをクラスの女性の一人が(誰であったかは忘れた)書き写し、謄写版刷りにしてクラス全員に渡した。
 先生はこの謄写版刷りのレシピ(こんな言葉は当時は全く知らなかった)を家に持ち帰り、母親に見せなさいと言った(ように覚えている)。
 私は家に帰りこの謄写版刷りを母親に見せ「ハンバーク“スラーキ”って何?」と聞いた。「エッ!」といって母親はその紙面を見た途端、笑い出した。「アンタ、これ“スラ―キ”じゃなくて“ステーキ”よ!」といった。何のことはない女子生徒は「テ」を「ラ」と書き違えたのだ。当時は誰もこんな食べ物があることを知らなかったのだ。それにしても母親は何故知っていたのであろう?
 当日の「スラーキ」実習では何やら肉団子のようなものを食べたような記憶がかすかにある。
 大学4年生の時正門の前に「ヤタロー」というカウンター式の小さなハンバークステーキ専門の店が出来た。厚手の鋳物製の皿の上でジュージュ―音を出して出されるものを食べるのは、皆金持ちそうな学生ばかりであった。その隣で私はスパゲッティ―ナポリタンをつつましく食べていた。「今に見ていろ、俺だって食って見せる」と思いつつ卒業した。
 中学以来二度目のハンバークステーキを食べたのは会社の社員食堂であった。

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