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2015年12月10日 (木)

2015年12月アイビー随筆

アイビー随筆「スワレメヨ」 

        37年理学部卒 大内 建二

 毎年クリスマスが近づくと思い出すことがある。小学校1年生と2年生の時、父を除く我々家族は高清水町に疎開した。見事な田園地帯である。

 宮城県は明治維新と同時に何故か各宗派のキリスト教の布教が盛んに行われていた。その中にはギリシャ正教やロシア正教など、現在の日本では全くマイナーな宗派のキリスト教の布教も行われていたのだ。

 この東北の片田舎の高清水町にもロシア正教の教会が存在し、終戦当時も多くの高齢の信者が残っていたのだ(牧師は出征して当時まだ未帰還)。

 終戦の年(私は小学校1年生)のクリスマス、戦時のために長く閉鎖されていたこの町の小さな小さなロシア正教の教会が再開された。クリスマスを前に信者たちが集まり、建物の屋根から取り外されていた十字架が取り付けられた。そして40畳ほどの広さの畳敷きの礼拝堂の正面の板張りが外され、何年もの間隠されていた極彩色のキリストやマリアや天使の絵が現れた。

 我々多くの子供たちは珍しいものが見られるらしいと、この日教会に集まり、畳敷きの礼拝堂に入って見たこともない極彩色のキリストの絵にくぎ付けになっていた。

 畳の上では30人前後の高齢の信者たちが幾つかの輪を作り正座し、何やらお経のような言葉を唱え、その最後に必ず「スーワワレーメーヨー」と合唱するのであった。何やら不思議な呪文に聞こえるのだ。この言葉はその後もクリスマスになると思い出された。

 確か大学3年生の頃であったと思うが、ある時母親にこの時の状況を話し、ネー、スーワワレーメーヨーって何のこと?」と聞いたことがあった。母親一瞬キョトンとしていたがたちまち笑い出し、「アンタそれはロシア正教でお祈りを唱えた後で、アーメンの代わりに“主憐れめよ”って言っていたのよ。皆さん“訛って”いるからそう聞こえただけよ」と言った。 

 なるほど「主(スー)、アワレメヨ(ワワレメヨー)」である。長い間の謎が解けた。

 

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