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2017年9月24日 (日)

2017年9月アイビー随筆

アイビー随筆9月号
 アイビー随筆「珍味」  37年理学部卒
                大内 建二
 東京の両国橋の東たもとに江戸時代から続く獣肉店「ももんじ屋」という店がある。ここの名物は「イノシシ鍋」や「鹿肉料理」である。
 私は所謂「ゲテモノ」好きではないが、かつて「ももんじ屋」でも滅多に見かけそうもない肉を食べたことがあった。
 立教祭が終わった直後の数日の休みを利用し、私が所属していたクラブ「地理学研究会」のメンバーは毎年慰安旅行を行った。行く先は金のない学生の身分であるために、山奥の温泉宿を探し一泊旅行を行った。温泉宿とは聞こえはいいが、要する温泉のある山小屋だ。
 2年生の時の行き先は新潟県の苗場山山麓にある逆巻温泉。山小屋の感覚十二分の「旅館」である。夕食に出されたメインは「熊汁」であった。前の週に宿の主人が付近の山で仕留めた熊の肉である。冬眠前の熊肉は脂身が十二分の肉。これが存外においしかったのである。お皿には山鳥の煮物もあった。岩を掘り起こして造った温泉は信濃の秋を満喫させた。
 会社の札幌支店に勤務中の秋、富良野の生コン会社の社長から手土産にと、エゾ鹿肉の塊4キロをもらった。いかにも北海道である。2日後の土曜日に、支店のメンバーと家族等30名前後と札幌近郊の公園でバーベキューを催すことになっていた。もらった鹿肉4キロの塊を家内に預け、「焼き肉用にスライスして味つけして」と頼んでおいた。大変な作業だ。
 当日家内も参加し支店総出の焼肉パーティーが始まった。ところがである。始まるとほとんど同時に、まさに「アッ」という間に4キロのシカ肉は30数名の胃袋に収まってしまったのだ。私が食べる間もなかった。家内は「せっかく苦労して作ったのに一切れも口に入らなかった!」。26年経つ今でも文句を言っている。エゾシカの肉は牛肉よりもおいしく、北海道道民
が最も美味として愛する食肉なのである。
 根室半島の突端の納沙布岬灯台に行った時、何もない場所に一軒だけポツンと小屋が建っていた。お土産屋である。覗いてみると驚いた。どこで製造したのか「オットセイ肉の缶詰」、「ヒグマ肉の缶詰」、「エゾシカ肉の缶詰」が陳列されているのだ。「ヒグマ肉の缶詰」のラベルは両足立ちしたヒグマの「ガオーッ」と叫ぶ絵である。食欲が萎える。
 北海道の釧路の酒場で「マダラの白子」の刺身、「ニシン」の刺身を食べた。この両方は獲れたて現場で、余程に新鮮でないと食べることは出来ない。珍味ではなく最早「超」が付くグルメなのである。

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