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2020年2月10日 (月)

2020年2月アイビー随筆

アイビー随筆2月号

 アイビー随筆2月号「遠足」

               37年理学部卒 大内 建二

 時季外れの話題となるが、小学校時代の遠足の話をしたいと思う。先月必要があり過去の写真を探していた折に懐かしい写真が出て来、しばし思い出にふけった。小学校3年生(昭和22年)の時の春の遠足の写真である。私にとって初めての「まともな」遠足の写真であるが、茶色く変色した写真に映し出されているクラス全員と付き添いの先生たちの服装がすごいのだ。

行き先は横浜市内の花月園という遊園地であるが、男子生徒の中にはアンダーシャツらしき姿が何人もいる。女の子のほとんどはモンペ姿である。海軍兵学校出の担任の教師の服装は海軍兵学校の制服である。全てが「無いない尽くし」の着るものもない時代であるが、よくも遠足などを実施したものだとむしろ感動した。

 東京都内の小学校の遠足は春・秋の二回で行き先も大体決まっていた。井の頭公園、逗子や江の島そして鎌倉の海岸、高尾山と相場が決まっていた。ところが2年生まで宮城県の高清水町に疎開していた私の遠足の思い出は、今では想像も出来ない仰天ものであった。遠足は秋の一回だけであったがその内容が凄かった。1年生の時の「遠足?」は近郊の田圃での落穂拾いであった。学校から2キロメートルほど先に広がる9月末の稲刈りの終わった広大な田圃に、全校生徒(300人?)が入り落ち穂を拾い集めるのである。全校生徒が拾い集めた落ち穂から収穫されたコメの量は少なくとも1俵(60㎏)にはなったはずであるが、その米がどうなったのかは知らない。

 2年生の時の遠足は再び田圃である。なんと「イナゴ採り」である。9月の稲刈り直前の田圃にはものすごい数のイナゴが飛び交っている。前日に教室で各自が新聞紙で袋を作らされ、当日各自袋を持って田圃に分け入るのである。無数のイナゴが飛び交う中、子供たちの素早い手の動きで無数のイナゴが捕まえられた。昼前に学校に持ち帰ったイナゴは、学校の大きな炊事室の五右衛門風呂のような鉄釜に投げ込まれ炒められるのである。その数一万匹は下らないはずだ。

逃げ出し飛び交うイナゴを相手に炊事室内では大騒動が持ち上がるのであるが、それを生徒達は窓や扉超しにわいわい騒ぎながら眺める。

 ことごとく炒られたイナゴは少しづつ各人に配られ醤油をかけて食べるのであった。動物性たんぱく質の絶対的な不足の時代の、子供たちの栄養補給に行われた苦肉の策であったのであろう。何とも凄い遠足であった。

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